2017-03-22 |
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レトロフトの催し案内
たまたま道具を取りにレトロフトMuseoに上がり、写真展の店番をしていた青年と会話がはじまり、、、思わず彼の世界に引き込まれていきました。
ちょっと私的なご案内ですが、学生さんたちの展覧会を紹介させてください。

彼のブースには《光景》というタイトルで16枚の写真が飾られていました。青や、オレンジ色の灯に包まれた街や運河や牛舎とかがちょっとした詩の断片のように壁に架けられています。
大学で建築を学んでいるという、彼。
この春休みにパリにアルヴァ・アアルトの建築を見に行ったときの風景も二点含まれていますと、嬉しそうに語ってくれます。とはいえ「建築」を写した写真は一枚もないことで、ちょっと私は彼に興味をかき立てられたのでした。
木立と空が、アアルトの庭からの作品でした。
そのパリの空の厚さ(厚さ、という言葉で彼は表現しました)と、日本とは違った光の印象を私に説いてくれます。
彼の、笑顔での物語を聞きながら・・・・ふと、これはなんといい時間だろうと私は感じました。
ひとりの若者が記憶の箱に切り取った思いが、一瞬で消えてしまったはずの風景が、いま、私のこゝろに入ってきて再びこの場所で生き始めている、その不思議さ、幸福感。
きっと芸術は、本来そういうものなのでしょう。
Facebookでは「LIKE(いいね)!」を押せば画像シェアができるけど、こうやってきちんと手間ヒマかけて人のこゝろを繋げていく作業をしている彼らの、きちんとアナログな営み。それがふいに私に「幸福感」をもたらしてくれたのかも。
26日(日曜日)までの開催です。
もしよろしければ彼らの思いを一度、見に来てあげてください。
2017-03-13 |
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日々のできごと

またまた旅の記録帳から。
とりあえずは忘れ去られたような場所が今や街で一番大切な発信地となっている・・・北浜アリーのご紹介です。
香川県高松市。
天気は快晴、北の風少々強し。
私の思ったことだけひっそりと、書きますね。

テレビの旅番組を見てれば行ってもない土地に行ったような気になり、
スマホの画面で、繋がってもない人のこゝろと繋がった気になり、
そんな現代の、「虚(うそ)」が見抜ける人なら、きっとこの北浜アレーはツボにはまるかも。

この夢いっぱいのアリーを見ていてワタシは思いました、やはり「手つかずの原っぱ」が若い人たちには必要なんだと。
おカネはないけど夢も、センスも、素養もある若い人々のために、
おカネも土地も建物もあるけどセンスも時代を読む才能もないおやじ連は、今一度、こうべを垂れて謙虚に暮らさねばならない、です(よ!)とも感じました。
それくらい素敵な場所でした。

まさにアレー、です。
場所さえ提供できれば、こんな風に街は自然と動き始めるんだなぁ。逆にこんな場所をどんどん潰して収益性だけを考えたマンションや再開発ビルに邁進する中高年世代は、、、、いけませんねぇ。
鹿児島の街のいろんなことを感じる、瀬戸内の海辺の倉庫群でした。



2017-03-08 |
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日々のできごと

瀬戸内町にあるペンションhalaの客室からの風景
奄美を旅してきました。
ちょっとオモシロイ発見がありましたので短くご紹介しますね。
奄美市役所の近くに、名山堀に似た(さらにちょっとディープかも)末広市場と永田橋市場という昭和なマーケットが2軒並んでいます。
市場は市場でも、、、、
すごくいい兆しを感じました。キーワードは「若い人」「島」「文化」。
通常だと足を踏み入れるのにも勇気のいる印象なんですが、まず、ここにはあまみFMのサテライトスタジオも設けられていて↓ ↓

一瞬、画像を間違っていると思われるかもしれませんがそうではありません。
「一銭店屋」の風体に擬態しての、これはきちんとしたFM放送局なんです。
子供が100円玉握りしめてほんとうに駄菓子を悩み悩み買ってました(100円がとをはみ出さないように必死に計算してました)。

通常の本社からの放送とは別に、毎日12時から1時まではこの場所からオンエアーなのだそうです。
あまみのFMは、曲の紹介も一切ないので一日中つけっ放しにしていても気にならず、その選曲のかっこよさはひょっとしたら米軍駐留の時代からのDNAかも、と思いました。
島の人たちは一日中、FMを流している印象です。コマーシャルも番組に融け込んでいて気にならないのです。

まわりをふと見れば、なにやらカッコいい文房具屋さんもありました。オチコチ舎。
京都からUターンしてきた青年がつい最近店開きしたとのこと。
置いているのはすべて、海外からの美しい文房具!
セレクトの美しさに痺れました、特にその色彩に。

とはいえ「市場」ならではの猥雑感もしっかり息づいています、たとえばこの「ハレルヤ食堂」。
この島ラーメンの美味しさは・・・・鹿児島ラーメンに慣れた私にはその味付けの繊細さで一気にノックダウンされました。タンカンの皮(ちんぴ)や島の味噌など繊細な薫りの調和が素晴らしいのです。

この島情緒と都会の若者の洗練と電波による発信までごちゃまぜになった市場の妙味。
いまにも朽ち果てそうな市場にして実は、
すごい文化の担い手たちによって支えられているこの場所の力に思わず、奄美に旧知の友と出会えたような感動を得ました。
古いものを次々壊すの大好きな鹿児島にあっても、決して名山堀やレトロフトは一人ではないと感じる、感激の市場訪問でした。

2017-02-22 |
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レトロフトの催し案内

2月24日(金)25日(土)26日(日)の三日間は!
《ポンポンのおためし展2017》11:00-19:00….最終日のみ〜17:00
〜屋久島のハンドメイドシュー〜
会場 レトロフトMuseo 鹿児島市名山町2−1 レトロフト千歳ビル2階
http://pon-pon.jp 080-5075-6743(江口)
Pon-Ponとは?
靴を作るときのトンカチのことをポンポンと言います。
ポンポンのためし展は普段履きの靴をテーマにした受注展示会です。サンダルからスニーカーやブーツまで肩の力をぬいてゆったりとポンポンの靴を遠慮なくお試しいただけます。
ご注文いただけるお客さまは、足型を採寸させていただき、普段履いている靴が合わない、自分のサイズがわからないなど、靴に関するお悩みもカウンセリングさせていただき自分にピッタリの一足をデザインさせていただきます。
屋久島から日本中に発信していく靴を、履いて試していただけるスタートとなる巡回展です。
皆様のご来場をこゝろよりお待ち申し上げます。

2017-02-09 |
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日々のできごと

羽島にある薩摩藩英国留学生記念館で、先日、「カフェ・アカデミア」というセミナーが開催されました(砂田光紀氏主催)。
ざっくりと、テーマは「街なみ」。ゲストスピーカーのお一人、イタリア生活の長かったイタリア料理店オーナー古畑好恵さんからのお話しに、ふと
「ああ、これこれ!」
と感じるコメントがありました。
美しいものをイタリア人は愛でて褒め合うけど、日本人は美しいものを見たとしても、それは自分とは別の世界のことと諦めてしまう。逆に、美しくないものを見てもスルーしてしまって論評はしない、、。
私がイタリアに留学していたある日、アパートの庭に犬が一匹柵に繋がれてわん、わんと吠えていました。
アパートの門番さんと3階ベランダに椅子を出して座っているシニョーラ(ご婦人)が大声でわんちゃんの論評をしていました。
誰の犬かしら?
会話はそこからはじまって、毛の色、毛並み、毛の白とブチの配分についての美醜、その吠え声が美しいかどうか、少し吠え過ぎではないか。庭とベランダでの対話は私の部屋にもよく聴こえてきます。
結論として、この犬はあまり美的でない&教育訓練が足りてない、というのが二人の対話の収斂して行き着いた先でした。(犬の飼い主にも聞こえていたとしたら随分失礼なハナシです(笑)。
・・・・・さて、ここから先はハナシが随分飛躍します。
昨年、レトロフトでも大きくこゝろを痛めて皆で声をあげた旧鹿児島銀行本館の取り壊しのこと。
あの建物が美しかったかあるいは美しくなかったか。
古い石造建築を捨て去ることがほんとうに豊かさへの道なのか。
そして・・・・将来ここに立ち上がる建築が100年の鑑賞に耐えうるほど美しいものかどうか?
30年前のあのご婦人ふたりに、そこんとこ=「対話の妙味」を私たち鹿児島市民にご伝授いただきたいと、心底思ったのでした。
美しい街は都市計画や規制以前に、こうした「なんでもないところ」「感性」から始まること、
私も古畑さん同様、イタリアで学んだのでした。

2017-01-28 |
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レトロフトの催し案内

昨晩開催された《建築と音》。
その斬新さから「難解」とも評されがちな高崎正治氏の建築です。
作者である高崎氏をレトロフトにお迎えしてのトークセッションは、だからこそ私たちにとってはまたとない機会でした、それを読み解くための。
目に見えるもの(=建築)と、
その背後に篭められた目には見えないもの(=内面世界)。
作者の発する「言葉」をたよりにひとつひとつ丁寧に、水面下のメッセージを会場にいる聴衆全員で読み解いて行ったのです。言葉が、次の言葉への端緒となり、発見へと導き絡められていく興奮。
そうやって徐々に見えて来た内面世界の深さに皆、圧倒されました。
(それはその人それぞれの発見なので、ここでは記しませんが・・・)
そして、全員でなぞった知の発掘を、会の後半では松本充明氏(視聴覚作家・sound performer)が今度は「耳に聴こえる」ものへと転換・例証してくださいました。
松本氏はこの「曲線」にこゝろ惹かれたとコメントされていました。
ご案内のDMにも使用されていた下カラー画像(↓)は実は、松本氏の解釈でそれは音楽の楽譜(記譜)と読み解かれていました。五線譜ではない、絵&記号としての演奏用譜面です。
つまり、見えない内面世界が「聴こえる音」として私たちの五感(感性)に響き伝わったのです。
さらにその曲線の美を読み解いて行くと、高崎氏の「古典への憧憬」「書」への思い、そして象形文字へと話題は連綿と繋がり行き、、、あの時間はまさに夢を解き明かす魔法のような二時間でした。


2017-01-24 |
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レトロフトの催し案内
もう間もなく、今週金曜日の夜、
レトロフト1階書棚空間は、ある実験的なパフォーマンスの場となります。
セッションライブ&トーク《建築と音》
ゲスト 建築家 高崎正治氏
視聴覚作家 松本充明氏 (進行役 レトロフト 永井明弘 永井友美恵)
日時 2017年1月27日(金)午後7時半より
会場 レトロフト1階リゼット広場 鹿児島市名山町2−1 レトロフト千歳ビル
参加費 2000円 (先着30名 要予約)
申し込み先>>コチラに記入の上送付ください。またはtel. 099-223-5066
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薬師寺東塔を、「凍れる音楽」と評したのは明治の日本を訪れた美術史家フェノロサでした。
美しい音楽をその場に瞬間的に凍らせてしまったような・・・・建築の「美」。
たしかにチカラある建築には、
人のこころに音&音響を奏でさせるパワーが内包されています。
レトロフトでは建築家・高崎正治氏を会場にお迎えしトークセッションを開催し、
さらには、
フランス・ソルボンヌで映像を学び、音を駆使した作品を作り続けるサウンドパフォーマー松本充明氏に、建築からインスパイアされる音と音楽を建築画像に重ねての即興ライブとしてご鑑賞頂きます。
音楽、と建築。
一見、遠い存在と思われるふたつの素材が、どう融合してどのような芸術世界を形作っていくか、そのユニークな試みを是非会場にてご体感ください。
↓ 2015年開催の和歌の朗読とのライブ風景を参考として添付いたします←Click(スライドショーの効果音とライブ音楽は別ものです)。


2017-01-21 |
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レトロフトの催し案内

これ、2年ほど前に妻が《新春レトロ市》に出品した品です。
ローマで、、、そうだったのかぁ。
日々同じ家庭で同じ時間を過ごしていても、そのモノへの思いは家族ですら知らなかったりするものです。
毎年、レトロ市準備搬入時間になると「そんな素敵な思い」があちこち、室内でパッと花開きます。
こころに秘めた愛情が、初めて言葉となる瞬間なのかもしれません。

要らなくなった手放すのではありません。
大切にしていたからこそ、もっと大切にしてくれる方のもとにきちんと手渡したい、、
自身のこゝろの成長や収納の限界、
そして、もう十分にそのモノの心を吸収できた満足感からの、出品です。
どうかその思いのわかる方々だけが集ってほしいと願う、新春レトロ市の前日です。
《2017年新春レトロ市のご案内》
2017年1月22日(日)午前11時から15時
(入場整理券を10時より配布致します)
※レトロ市は「大切にしていたものを 大切にしてくださるかたに」をテーマに、通常のフリマとは違って、消費し続ける社会への小さな反省からスタートしています。お一人さまの購入点数の制限をする場合もありますのでご了承ください。
1階の焙煎珈琲キッサコさんが早めに店を開けてくださいます。整理券を受けとられたら11時までは古書店やコーヒーであたたかくお過ごしください。

2017-01-09 |
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レトロフトの催し案内

2017年最初のレトロフト自主企画の催しをご案内申し上げます。
セッションライブ&トーク《建築と音》
ゲスト 建築家 高崎正治氏
視聴覚作家 松本充明氏 (進行役 レトロフト 永井明弘 永井友美恵)
日時 2017年1月27日(金)午後7時半より
会場 レトロフト1階リゼット広場 鹿児島市名山町2−1 レトロフト千歳ビル
参加費 2000円 (先着30名 要予約)
申し込み先>>コチラに記入の上送付ください。またはtel. 099-223-5066
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パリのエッフェル塔は建造された当初、人々の激しい非難にさらされました。世界遺産として最近脚光を浴びたル・コルビュジェの名建築群も全く同様でした。
アーティストが完成された様式(過去の)を脱ぎ捨てることは、実に勇気のいることなのです。
逆にいうなら、過去を纏い続けている限り建築家も芸術家も安全なのです。
今を生きる私たちは、だからこそ概念に囚われずにもっと同時代 〜 contemporary をしっかり知る努力をするべきなのではないでしょうか。
レトロフトでは2人のコンテンポラリーアーティストに光をあて、
今の時代を「知る」試みを・・・・・音楽ライブ&トークという形で試みます。

レトロフトmemo…
ひとつの建築を、ある人は歴史的名建築だと讃え、ある人は壮大なムダだと非難もしたりします。
その評価に一定の基準があるわけではありません。
古代ローマの歴史的建造物ですら一時は羊たちが草を食むばかりに荒れ果て、ようやくそれが評価されるのはルネッサンスという1000年もの時を経てから・・・・そんな人類の歴史を私たちは忘れてはいけないように私には思えるのです。
下画像は古代ローマの水道橋と、指宿市にある高崎氏作品のコラージュ連作。





2016-12-27 |
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レトロフトの催し案内